『田園の詩』NO.126 「春は名のみ」(2001.3.27)


 『冴え返り 冴え返りつつ 春半ば』の句や、『三寒四温』の言葉は、春先の季節の進
み具合を誠に良く表現したものです。

 いち早く南の国から春の便りを…と思いつつも、今年はその足取りが遅々として進み
ません。『半ば』に差しかかった気もしないし、『一温』ずつ暖かくなってゆく感じもな
いのです。

 確かに、梅の花も咲きウグイスも鳴き始めてはいます。『鶯の 身をさかさまに 初音
哉』 この句の通りの姿を裏山で目にしましたが、いずれも例年より半月遅れている
ようです。

 3月2日に中学校の卒業式があり、たまたま割と暖かい日だったので、運よくウグイス
の声が体育館の中まで聞こえてきました。「外ではウグイスも楽しそうに鳴いているこの
佳き日に…」とアドリブを入れて告辞文を読み挨拶をしたのですが、その後、ウグイスも
声をひそめています。

 3月8日に天気予報通り強い寒波がやって来て雪が少し積もりました。まさかと思って
いたのですが、最近の予報の正確さには驚きます。ただ、10p位積もるかもしれないと
いう予測は外れました。


     
     いち早く咲いた河津桜に雪が積もりました。朝日に照らされて、溶け落ちる寸前に
     間に合い、写真を撮ることができました。キラキラ輝いて見事でした。(10.3.11写)



 当地では、このように春の訪れは遅れ気味ですが、スギ花粉だけは、早々に、しかも
大量に舞っています。

 数日前、黄砂とスギ花粉が一緒に重なった時は最悪でした。車を出しておいたら火山
灰が降ったようになっています。30年近くも花粉症と付き合っている私も、これ程多量
の花粉の飛び散る様を見たのは初めてです。

 花粉症対策としては、病院の薬を飲み、目薬をさして、少し気を紛らしながらジッと耐
えるより他はありません。完全にスッキリさせる治療は今のところないようです。

 友達が≪カワラヨモギ≫を煎じて飲めば効果があると勧めてくれたのですが、当の本人
が、私よりティッシュペーパーを使う回数が多いので、その薬草はまだ試さずにいます。

 結局、本格的な春の訪れは「彼岸」が過ぎないことには、そして花粉症が良くなるのも、
スギ花粉が飛ばなくなるまでは、駄目なようです。     (住職・筆工)

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